もがき中の学生が読んだ”もがこせ”
去年発売されて古生物界隈で話題になった木村由莉さんの「もがいて、もがいて、古生物学者」。発売当時たまたま日本にいた森に本を持って帰ってもらい最近ようやく読みました。
まずタイトルが正直。
本が話題になっていた時、「内部告発かな!笑」と思いました。なぜなら実際にアルバータ大学の学部生で、〜みんなが恐竜博士になれるわけじゃないから〜というのをまさに肌で体感していたからです。
〜恐竜博士になれるわけじゃないから〜←確かに
といっても〜恐竜博士になれるわけじゃない〜というよりは、どちらかというと「マグロを釣りに行ったら伊勢海老やタラバガニが釣れた」みたいな感覚で、「みんな恐竜したくて大学来たけど他にも面白いものを見つけてしまった」というのが正しい解釈かもしれません。もちろん古生物学のプログラムに入ったけど、就職した先輩もいたと聞きましたし、恐竜を絵として復元するパレオアートの仕事をしたいという人もいましたが、研究者の中ではどちらかというと、自分の新しい興味を見つけて結果研究対象が恐竜じゃないけどおもろいからいいやあ、という人が多いように思います。
研究は楽しいがしかし
それでも、研究というものは楽しい分、それだけ悩みもついてくるような感じがします。少なくとも私はそうです。
「今後の生活どうなるかな。」
「あ!なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろう!」
「ここもっと証拠いるよな。・・・探すのだる。」
「頭いい人がまたすごいことやってるー」
「あーやってらんねー」
「・・・うんこ」
っていう感情が出てくるたび、何か甘いものを食べて気をそらせて、チマチマ作業をする。というのが私です。
もはや悩める我々へのセラピー本
そんな腹の中身が腐り切った私は本のなかでの木村先生の悩みが語られている部分には衝撃を受けました。
木村由莉先生はいわゆるエリートなんだろうな、自分達とは違うんだろうな、と勝手に考えていたのですが(すみません)、この本では先生が様々な悩みを乗り越えてチャンスを掴んできたという過程が語られています。弱音に時間なんて割かずに、ただ解決策を探して見つけて、ひたすら淡々と問題を乗り越えていくんです。丁寧に壁を乗り越える姿に、私の心が浄化されていくような、そんな感じがしました。そっか。一つ一つ乗り越えるしかないもんね。そうだよね。ベッドの上でチートスを食い散らかせながら文句を言ってる場合ではないのです。
そして、もう一つこの本で学べるのは、「競争率の高いコミュニティーでどう生き残るのか」というもの。表向きには、木村先生が研究者の中でもさらに門が狭い古生物学者になった経緯が書かれていますが、これは緻密に計算された戦略があったからこそではないでしょうか。周りのエリートたちとの戦い方。視野の広げ方。自分の得意分野で勝負する方法。このあたりはどんな分野でも役立つスキルだと思います。
読もうと思ってたけどまだそういえばまだ読んでなかった!という人や、何か読む本を探している方がいたらぜひ。
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